参加者の満足度が高くなるワークショップの場づくり

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皆さんはワークショップに参加して満足したことはありますか?参加者に多くの学びを与え、満足させるワークショップには、ワークショップの目的に合わせた場づくりが行われています。この記事ではワークショップを成功させるための場づくりについて解説します。

ワークショップとは

ワークショップとは、参加者が参加・体験を通じて学び合い、新たな価値を創造するための実践の場です。

ワークショップの基礎については、別記事で詳しく解説しています。

場づくりとは

人は初めての空間に入った瞬間に必ず警戒します。例えば、部屋で待ち構えるスタッフ陣や、テーブルに置かれた真っ白な紙を見たとき、皆さんの多くは不安になるのではないでしょうか?

場づくりとは単に椅子や机を並べて空間を作ることだけではなく、会場の選択や、事前の案内・課題を含め、ワークショップが開始されるまでに人がどのような気持ちで集うかを考えて準備することを指します。

ワークショップを成功させる場づくり

ワークショップに適した会場を見つける

オフラインのワークショップを実施する場合、会場を用意しなければいけません。ワークショップの主催者と実施者が異なる場合は、主催者側が用意することもあります。その際に気を付けなければいけないのは、会場の立地と広さと設備、そして制約です。

会場の立地と広さ

例えば、参加者20名のワークショップをあなたが実施するとき、皆さんならどれくらいの広さの会場を用意しますか?

20名だと、小さい会議室でワークショップができる気がしますよね。そのため、できる限り小さい規模の会場を用意して予算を抑えたいかもしれません。

しかし、ワークショップを成功させたいのであれば、なるべく広い会場を用意することをお勧めします。駅に近接した小さい会場と、駅から少し離れた広い会場のどちらかを選ぶのであれば、駅から離れた広い会場を使用しましょう。

それではなぜ、広い会場を選ぶ必要があるのでしょうか?

1つ目は、参加者同士の距離が近すぎて窮屈になってしまう点です。当日集まった参加者はお互いを知らないため、心理的な不安から互いに距離を置こうとします。そのため、狭い部屋に多くの人が密集していると、ストレスを感じてしまい、ワークショップに集中する姿勢が生まれません。最低限椅子を引いたときにほかの人と接触しない程度の空間を用意しましょう。

2つ目は、協働に必要な作業がやりにくい点です。ワークショップでは協働を促すなかで、作業(ワーク)を参加者に与えます。部屋を使うは大型の模造紙をテーブルに広げたり、壁に貼り、付箋紙やペンで書き込むことをします。狭い部屋だと、このような作業がしにくくなり、創造性を損なってしまいます。広い部屋を用意することで、のびのびと作業することができ、創造性を最大限まで引き出すことができます。また、会場が広いと参加者が気分転換するためにレイアウトを変えたり、空間の使い方を変えやすくなります。例えば、テーブルを横にどけて作業したり、椅子を使わず、床に座って議論したり、環境を少し変えるだけで、議論が活性化することがあります。こういった変化を許容できる広さが必要です。

最後3つ目は、ワークショップ中にレイアウトを変えられない点です。優れたワークショップでは、ワークショップの最中にレイアウトを変更することをよくします。それは参加者の没入度合いや関係性に応じて最適なレイアウトに変えているためです。

このように、ワークショップ中にレイアウトを変えることで、参加者はストレスなくワークショップに没入することができます。

それではなぜ広い会場がいいのでしょうか?それは広い会場の場合、あらかじめ複数のレイアウトを用意することができるためです。会場が狭いと、レイアウトを変えるためには参加者の作業を中断させる必要があります。しかし、会場が広ければ、移動するだけなので、作業を中断せず、没入感を維持できます。時間が限られるワークショップでは、ほんの数分の中断がアウトプットの質を左右しかねません。レイアウトを変えることは、ワークショップに必要であり、広い会場にすることで、レイアウト変更が容易になることを覚えておいてください。

設備

会場ではさまざまな設備が用意されています。ワークショップを実施するときに確認するべき内容を挙げたいと思います。

  • 定員分に予備を加えて、十分なテーブルと椅子があるか。
  • ホワイトボードが十分にあるか。
  • プロジェクタや大型モニタがあるか。
  • マイクがあるか。
  • 音響設備があるか。BGMなどの再生ができるか。
  • 照明の明るさは十分かどうか。
  • 空調(冷暖房)は完備されているか。温度変更はできるのか。
  • ハンガーラックやクロークが用意されているか(特に冬)

設備は当日、持参したり変えることができません。事前に確認することで、当日のトラブルを回避することができます。

制約

会場にはそれぞれ制約や禁止事項があります。特に注意が必要なのは以下の項目です。

  • 部屋で飲食ができるかどうか。
  • 会場内で動きのあるワークを実施できるかどうか。
  • 歌唱や演奏など、音を使ったワークを実施できるかどうか。

長時間のワークショップでは飲食ができる会場が望ましいです。別記事で紹介していますが、軽食(お菓子)や飲み物は参加者のアイスブレイクを促す役割が期待できます。

またワークショップが身体性を重視している場合は、騒音に関係するので、会場選びは慎重に行ってください。

空間を考える

場づくりで大切なことは、用意された「場」に合わせるのではなく、自分たちが一番必要とする「場」をつくることです。

教室のように、人の背中越しに先生を見上げるのでは、参加や相互作用は起きにくいでしょう。ワークショップでは輪になって座り、お互いの顔が見える状況で取り組む「サークル形式」や、グループごとに小さな島を形成して取り組む「アイランド形式」を推奨しています。

休憩時間を有効に活用する

参加者が集まる時間はバラバラで、早い人は開始30分前に会場に来ることがあります。そういった参加者に心地良さを提供することで、あとから会場に来られる方にポジティブな影響を与えることができます。そこで筆者が活用するのは「ちょっといい軽食を用意する」ことです。専門店の洋菓子や和菓子を用意して、きれいに並べて置き、セルフサービスをすることで、参加者の気持ちを高め、会話を作ることができます。予算はワークショップの規模によりますが、1個100円~500円程度のものを用意しましょう。

まとめ

会場などはすでに決められていることも多く、さまざまな制約の中で、どう場づくりをするのか、ワークショップを実践する上で、とても大切です。creativeog[クリオグ]ではワークショップに関する記事を多く執筆しているので、ぜひ読んでみてください。

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