I DO ARTでワークショップを劇的に改善させる

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ワークショップをデザインする上で、I DO ART を知っていますか?あるいはI DO ARRT(Rが2つ)と記されることもあります。これは英語の ”I do art.”(直訳:私はアートをつくる)ではありません。この記事では ワークショップにおけるI DO ART について解説します。

I DO ART とは

I DO ART はIntention(目的)、 Desired Outcome(目標、目指す成果)、Agenda(全体の流れ・やること)、Rules(お約束事)、 Time(時間割)の頭文字を取ったものです。Roles and Responsibilities(参加者に求めることと責任)が加えられ、 I DO ARRT とRが2つ続くこともあります。ワークショップやグループディスカッションを行うときの最初に、参加者に伝えるべき事項として考えられています。

Intention|目的

ワークショップの目的を参加者に伝えましょう。プログラムの設計者は理解していると思いますが、参加者の中には知らない人もいますので、ワークショップの最初に伝えておくことで、参加者の参加意欲を上げる効果があります。

Desired Outcome|目標・目指す成果

ワークショップを通して、達成すべき目標(ゴール)や目指す成果を明確にしましょう。一般的なワークショップでは目標が設定され、その目標を達成するためのプログラムが設計されています。それを参加者に伝えることはワークショップを円滑に進めるためには大切です。

Agenda|全体の流れ・やること

当日のプログラムスケジュールを伝えましょう。プログラムの流れを参加者が理解することで、目指す成果に向けて参加者が順序を決められ、主体的に活動することができます。ワークショップのプログラムを隠すこともテクニックとしてありますが、あまりおすすめしません。

Rules|お約束ごと

ワークショップにはお約束ごとを明確にしましょう。筆者はワークショップで以下のようなお約束ごとをするようにしています。

対話が主体のワークショップでをするときのお約束ごと

・役職や肩書きは関係ありません。この場では、みんなが対等な立場です。

・発言するときは、話を短く、簡潔にまとめてください。

・相手の話は静かに耳を傾けましょう。

・「でも、」で話を止めず、「それならば、」と話を続ける努力をしましょう。

アイデア創出を目指すワークショップをするときのお約束ごと

・出てきたアイデアには、お互いに真摯に意見を出し合いましょう。

・相手の話は静かに耳を傾けて、わからないことは聞きましょう。

・アイデアを自分の基準で評価せず、相手と自分が納得する基準で評価しましょう。

・考えてから作らず、作りながら考えましょう。

ワークショップのお約束ごとはプログラムの序盤に行いましょう。

ワークショップのプログラムデザインについては別記事で詳しく解説しています。

Roles and Responsibilities|参加者に求めることと責任 *I DO ARRTのときのみ

ワークショップの参加者に責任が生じる場合は、事前に明確にしましょう。主にビジネスの領域でワークショップする場合は、注意が必要です。

Time|時間割

ワークショップの時間は参加者にとって重要な情報です。休憩時間や昼食時間など、できる限り時間を開示しましょう。筆者が行うワークショップでは分単位で時間割を参加者に公開しています。長時間のワークショップでは、参加者が疲弊しないように十分な休憩時間を設けるだけではなく、それを参加者に最初に伝えることで、心理的な不安を取り除くことができます。

なぜI DO ART が必要なのか

I DO ART はワークショップの全体を参加者に提示することになります。なぜ参加者がワークショップの全体を知る必要があるのでしょうか?

それは参加者がワークショップについて何も知らない状態で参加すると、下記のような状態になってしまうからです。

・わからないことを聞く、つまり聴講する姿勢ができてしまい、受け身になってしまう。

・参加者からの質問によりファシリテーターの本来の役割が疎かになってしまう。

・ファシリテーターがプログラムについて、余計なことを言わないように参加者から一歩引くことで、傍観者になってしまう。

これでは創造的な対話が生まれません。

参加者がI DO ART を理解しておくと、必要な情報を追加で説明することなく、議論に集中することができるようになります。

ファシリテーターにとって I DO ARTとは

ワークショップを円滑に進行させ、参加者の主体的な学びを支援するのがファシリテーターです。ファシリテーターにとって I DO ART を参加者に伝えることは価値があります。

創造的なワークショップでは、ファシリテーターが単なる進行役では優れた成果は期待できません。これからのワークショップではファシリテーターも積極的に参加者と対等な立場で参加し、行動することが求められます。そうなるとファシリテーターと参加者の情報は等しくなければいけません。そのため、I DO ART は参加者とファシリテーターが必要最低限共有すべき内容とも言えます。

ファシリテーターについて、別記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

I DO ART を考えてみよう

本記事ではI DO ART を解説しましたが、実際に使わないとすぐに忘れてしまいます。ぜひ、自分でワークショップを設計する際にI DO ART を書き出してみてください。


creativeog[クリオグ]ではワークショップの記事を数多く執筆していますので、関連記事もぜひご覧ください。

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