最近、4 Player Modelを活用したワークショップのプログラムデザインを考えることが多くなりました。そこでこの記事では4 Player Modelについて解説していきます。
4 Player Model とは
私たちは会議やワークショップ、グループディスカッションなどで、他の参加者と話し合ったり、協働したりすることがあると思います。ワークショップについては別記事で詳しく解説しています。
4 Player Model は参加者の役割を4つに分け、それぞれ、「Movers」「Followers」「Opponents」「Bystanders」と名付け、これらの特性を持つ人が揃うことで、コミュニケーションが活発になり、アイデア創出が進むとされています。英語だとGroup Dynamics(グループの相乗効果)が最大化されるとも言われてます。
4 Player Model は誰が提唱したのか
Player ModelはDavid Kantor氏が提唱したものです。David Kantor氏はアメリカのシステム心理学者として有名で、書籍も多数発行されています。この記事に書かれている英文はDavid Kantor氏の言葉を引用しています。
4 Player Model の4分類
Movers|行動者
They move a team along.
David Kantor (筆者が和訳)
彼らはチームを動かすリーダー的な役割
Moversはチームやグループを動かし、引っ張っていくリーダー的な役割を担う人です。積極的な発言や行動が見られ、進行役を努めることも多いです。
Followers|支援者
They support the initiative.
David Kantor (筆者が和訳)
彼らはイニシアティブをサポートする役割
Followersは自らが能動的に発言・行動はあまりしませんが、Moversやグループの主導権(イニシアティブ)を握っている人をサポートします。
Opponents|対抗者
They provide critical feedback.
David Kantor (筆者が和訳)
彼らは重要なフィードバックをする役割(批判的なコメントが多い)
Opponentsは対話のなかで生まれた意見やアイデアに批判的な意見をすることを厭わない人を指します。批判は議論を停滞させる原因にもなりますが、生産的な批判(改善提案をするなど)の場合は、アイデアの修正や改善に繋がる重要な意見となります。
Bystanders|俯瞰者
They often observe the team and its processes from the sidelines.
David Kantor (筆者が和訳)
彼らはしばしばチームとそのプロセスを傍観して観察します。
Bystandersは積極的な姿勢を見せずに、チームを俯瞰して静観し、アイデアやプロセスを熟慮する人を指します。意見やアイデアを客観的に判断して考察するだけでなく、グループの目的やゴールから逆算したときのプロセスや進捗度合いを把握し、全体管理する役割を担っています。グループディスカッションでタイムキーパーを好んで務める人が当てはまります。
4Player が揃わなかったらどうなるのか?
少人数の会議やワークショップでは、必ずしも4つの役割を持つ人が揃わないことも多々あります。David Kantor氏は4 Player Modelの各役割が欠けるとどうなるかを説明しています。
Without Movers|もしMoversがいなかったら
There is no Direction.
David Kantor (筆者が和訳)
どこに向かっていけばいいかわからなくなる。
能動的にチームを導くMoversがいなければ、チームは目的やゴールを見失い、議論が停滞してしまします。
Without Followers|もしFollowersがいなかったら
There is no Completion.
David Kantor (筆者が和訳)
賛同を得られず、目的を達成できなくなる。
Followersがいないと、賛同が得られないので、すべての議論やアイデアが自己主張となってしまいます。イノベーションは小さなアイデアの積み重ねだとするのであれば、Followersがいないチームはアイデアの積み重ねができず、目的を達成することができません。
Without Opponents|もしOpponentsがいなかったら
There is no Correction.
David Kantor (筆者が和訳)
対戦相手がいないので修正や改善がされない。(筆者訳)
Opponentsは批判的な姿勢を取るため、Moversからすると厄介な存在ですが、不在だと、アイデアが修正や改善がされずに高い品質の成果が生まれません。
Without Bystanders|もしBystandersがいなかったら
There is no Perspective.
David Kantor (筆者が和訳)
全体を把握できず、全体の見通しが立てられない。
Bystandersがいないと、全体を把握したり目的から逆算してリソース配分を考える人がいないため、時に小さなことに集中するあまり、重大なことを見逃す危険性が高まります。物事を俯瞰できないため、全体の見通しが立てられません。
4 Player Model は固定される?
よく質問として寄せられるのが「4 Player Modelは個性だから、不変なのか?」ということです。例えば、MoversはずっとMoversなのか?ということですが、私は不変ではなく可変だと考えています。例えばワークショップに参加する際に、周囲の環境に合わせて役割を変えられることが理想です。それぞれが軸となるPlayer Modelを認識しつつ、「今回は別のPlayer Modelを演じてみよう。やってみよう」と挑戦することで、参加者のやる気も向上し、グループダイナミクスも最大化させることができます。
4 Player Model を理解することで対話はどう変わるのか?
それぞれが役割を認識することで、「あの人はこういう思考をするのか。」「あの人が沈黙するのはただ傍観しているのではなく、Bystandersとして俯瞰して物事を考えているのかも」といった理解に努めようとするきっかけになります。そして 4 Playerが揃うことで、Group Dynamics(グループの相乗効果)が生まれ、創造的議論が生まれると考えられています。
終わりに
ワークショップやグループディスカッションなどを円滑に進め、人が驚くアイデアや解決策を見つけるためには、4 Player Modelを理解しておくことは大切です。コンサルタントや就職活動を行う学生の皆さんも4 Player Modelを理解し、実践に活かしていただければ幸いです。
creativeog[クリオグ]ではワークショップに関する記事を多数執筆していますので、関連記事もご覧ください。