いま社会のあちこちで必要とされている新しい役割としてファシリテーターが挙げられます。対話を円滑に進めるだけでなく、意見を引き出し、まとめあげる能力を持った優れたファシリテーターになるための条件について、本記事で解説します。
ワークショップとは
ワークショップとは、参加者が参加・体験を通じて学び合い、新たな価値を創造するための実践の場です。
ワークショップの基礎については、別記事で詳しく解説しています。
ファシリテーターとは
ファシリテーターは英語の”Facilitator”のことで、会議などで物事の進行を促進させ、目的を達成するために参加者の意見を引き出し、そそのかす役割を担っています。ワークショップの場をコーディネートし、ワークショップのあいだ良い雰囲気を作り、参加者の意欲や主体性を引き出しながらプログラムを円滑かつ効率的にに進めていく重要な役です。
ファシリテーターと司会は何が違うのか?
ファシリテーターと司会を混同する人もいますが、役割は全く異なります。司会が担う責務は「司会進行」となり、計画に沿って遅延なく物事を進めることが求められます。一方ファシリテーターの場合、参加者の意見を引き出し、まとめあげ、計画に囚われずに対話の場を作ることが重要な責務です。
優れたワークショップファシリテーターになるためには
ファシリテーターは社会のあちこちで求められている新しい役割ですが、優れたファシリテーターになるには、ファシリテーションに関する知識と経験が必要です。さらに、ファシリテーターには大切な思考パターン(マインドセット)を持つことが重要です。本記事ではファシリテーターに必要なマインドセットを8つ解説します。
ただし、ワークショップのジャンルにより必要となるマインドセットは多少異なります。
ワークショップのジャンルについては、別記事で詳細に解説しています。
ワークショップ全体を掌握する
ファシリテーターは、参加者の取り組み状況や、残り時間、目標達成度合いを把握し、ワークショップの目的を達成できるようにプログラムを進行しなければいけません。ワークショップを俯瞰することを意識しましょう。
安心・安全な場を作る努力をする
会場や参加者に目を配り、安心・安全な場を作ることが大切です。そのためには、参加者にワークショップの目的ややることを伝え、参加者同士が仲良くなるために話題を提供するなど、参加者を気にかけましょう。
参加者にワークショップの概要を伝える”I DO ART”について別記事で詳しく解説しています。
コンテンツではなくプロセスに介入する
ファシリテーターは参加者が発言する内容には口出しせず、グループの進め方、プロセスに介入するようにしましょう。
例えば、机上でずっと議論しているグループに対して、フィールドリサーチを進めたり、ユーザーインタビューを提案したりすることを指します。
ポジティブに考える
ワークショップにはさまざまな性格の参加者がひとつのテーブルで意見を出し合います。そのなかには、批判的な意見を述べる参加者もいます。しかし、ファシリテーターはどんな発言もポジティブに考えましょう。常に「そうですね。それなら…」と意見を受け入れ、アイデアをつなげる努力を惜しんではいけません。
ワークショップ参加者の性格について、別記事で詳しく解説しています。
率先して面白がる
当たり前だけど多くのファシリテーターができないのが、ワークショップを面白がることです。自らが率先して楽しむことができれば、和やかでクリエイティブな雰囲気を作ることができます。
中立で公平な役割であることを自覚する
ファシリテーターは対話を促進する役割あり、常に中立かつ公平であることを自覚しましょう。無意識のうちにプログラムの進めやすい方向に話題を振りがちですが、我慢が必要です。
先入観を持たず、あらゆる想定は保留する
先入観や思い込みは持たないようにしましょう。 中立で公平な立場にいるファシリテーターにとって、先入観は邪念を生み、参加者のアイデアや発想を妨げる要因になります。また、あらゆる「想定」を保留することがファシリテーターにとって重要なことです。
合意形成を重視する
ファシリテーターにとって最も難しいのが、アイデアや意見をまとめ合意形成するために対話をサポートすることです。合意形成するためには、判断基準の設定や合意形成の方法などを、臨機応変に判断する必要があります。ワークショップでは、正解だけでなく、納得解を出すことを注視していますので、合意形成を円滑に進められるファシリテーターが求められています。
まとめ
優れたワークショップファシリテーターになるには、知識と経験が必要だと描きましたが、一番大切なのは、本記事に掲載したような思考パターン(マインドセット)を意識して行動することです。ぜひ、実践の場で8つのマインドセットを意識しながら、ファシリテーションを行ってみてください。