ワークショップで合意形成するための便利な3つの投票方法

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ワークショップで最も重要で難しいのが合意形成です。ワークショップは正解だけでなく納得解を導く場として考えられているため、ワークショップの参加者が納得する合意形成を図らなければなりません。本記事ではワークショップで参加者が納得して合意形成するための便利な投票法を3つ紹介します。

コンフィデント投票

ドット投票

ドット投票とは、丸いシールを推薦するアイデアに貼り付けて、得票数で合意形成する方法です。ドット投票はシールをアイデア用紙や付箋紙に貼るだけなので、手軽に始められるのが魅力です。また、挙手制に比べ、「誰が」が見えにくいため、権力や同調圧力に左右されずに投票ができます。ドット投票するときは、一斉に投票を始めて時間差を設けないことが大切です。ファシリテーターとして投票を声がけするときは下記のような手順で進めましょう。

①投票を始めます。まずは投票するアイデアを事前に決めてください。
②投票時間は10秒です。10秒の間に3枚のシールを貼るので、投票するアイデアの場所を再度確認してください。
③それでは、投票を開始してください。10,9,8,…
④それでは終了です。席にお戻りください。これ以後の投票はNGです。お疲れさまでした。

ここからは、ドット投票の特長4つをご説明します

ドット投票の特長

同調圧力や権力を排除できる

ドット投票は時間差を作らないことで、他者に左右されない投票が可能です。「あの人が投票するから。」「あのアイデアに票が集まっているから。」といった外部情報によって投票するアイデアを変えるのを防ぐことができます。この点は挙手制も同じと言えます。

属性を分けられる

丸いシールの色を分けることで、属性を分けられます。例えばデザイナーとエンジニア、営業といった職種で分けたり、性別や年齢で分けるたりすることができます。こうした属性を分けることで、アイデアを選ぶ際の対話を促すことができます。

投票する重要性に応じて、割り当てるシールの枚数を任意に決められる

ドット投票では、投票数はテーマに合わせて調整することができます。初期アイデアでは複数のアイデアを選べるようにするなど、柔軟に対応できます。

時間がかからず、すぐに結論を導き出せる

ドット投票は、得票数が定量データとして示されるため、すぐに結論を導き出すことができます。合意形成の時間が限られる場合はとても有効です。

 チームの性格が見える

実はドットシールはチームの性格や傾向を知るときに役立ちます。シールを無作為に貼るチームもいれば、きれいに並べるチームもいます。こうした無意識の行動でチームの性格を知るきっかけになるのです。ファシリテーターにとってもとても重要な情報になります。

大人数の投票に対応できる

ドット投票は大人数の投票に対応でき、挙手制に比べて数える手間を軽減できます。

自信度投票

海外では”Show your confidence”(君の自信の度合いを見せてくれよ!)という会話があります。その時に使われるのが自信度投票です。これは、推薦するアイデアを選ぶだけでなく、その推薦する自信を最小0から最大100までの数字で表します。付箋紙などを使うことで、ファシリテーターとして投票を声がけするときは下記のような手順で進めましょう。

①投票を始めます。まずは投票するアイデア3個を決めてください。
②それでは1つ目の投票するアイデアに対する自信度合いを0から100で付箋紙に書いてください。
③それでは、私の「せーの!」の掛け声で一斉に貼ってください。それでは、「せーの!」。
④次に2つ目の投票する投票するアイデアに対する自信度合いを0から100で付箋紙に書いてください。
(以後、繰り返す)
⑤それでは、参加者の皆さん同士で貼った自信の度合いについて理由を説明し合いましょう。
⑥他者との対話を通して自分の自信の度合いは変化がありましたか?それではもう一度自信の度合いを投票しましょう
(以後①から繰り返す)
⑦それでは点数を変えた方は、なぜ変えたのか、理由を話してください。
⑧それでは点数が高く、得票数が多いものを選んでください。

自信度投票の特長

自信の度合いを可視化することで、得票数だけでない基準で採決が取れる

得票数だけではなく、自信の度合いが可視化されることで、得票数ではない基準で採決を取ることができます。得票数が同じでも自信の度合いの高さで結論を出すなど、判断材料が多いことで、合意形成が効率的に行うことができます。

「なぜそれを選んだのか?」という対話を促すきっかけになる

自信度投票は0から100の点数が付けられるため、全員の点数はバラバラになります。そうなると、「なぜあなたはこの点数を付けたですか?」という問いがお互いに投げかけられるので、自然と投票理由を話すことができます。対話のきっかけを与えてくれるのがこの自信度投票なのです。一方で、深い対話を促すための投票でもあるため、大人数の投票には向きません。最大6名以下の投票で活用してください。大人数の場合はドット投票をお勧めします。

対話を通して意見を変える選択ができる

一般的な投票は、一度決めたら判断を変えることができません。しかし自信度投票は選択を変えることも合意形成のプロセスに組み込んでいます。つまり、他者の意見を聞いて、意見を変えたり、自信の度合いが高まったりするのです。こうした心境の変化を許容することで、参加者全員にとっての納得解を得る可能性が高まります。

メンバーを知ることができる

対話を中心に進めるこの投票方法は、参加者同士の関係性を強めることができます。お互いの意見を聞くことで、相互理解が進み、共通のゴールに向かうことで協働性が生まれるのがこの投票です。

属性を分けられる

ドット投票と同様に付箋紙の色を分けることで、属性を分けられます。例えばデザイナーとエンジニア、営業といった職種で分けたり、性別や年齢で分けるたりすることができます。こうした属性を分けることで、アイデアを選ぶ際の対話を促すことができます。

 投票する重要性に応じて、投票数を変えられる

ドット投票と同様に、投票数はテーマに合わせて調整することができます。初期アイデアでは複数のアイデアを選べるようにするなど、柔軟に対応できます。ただし自信度投票では、対話する時間が必要なので、投票回数は最大3つに収めるといいと思います

ブラインド投票(電子投票)

結果のみを追い求めるときはブラインド投票がお勧めです。事前に投票することが決まっており、投票するアイデアや投票数などがあらかじめわかっている場合、電子投票が秘匿性を守れるのでおすすめです。例えばOffice365を契約している人はMicrosoft Formsを使うと簡単に投票準備が整います。また、すぐに投票を行いたい場合は、簡易的な投票箱を用意して、投票する、選挙形式が良いでしょう。

ブラインド投票の特長

秘匿性が守られる

心理的安全性が十分に確保できていない状態での投票は参加者にとって大きな負荷を与えます。ブラインド投票は匿名性が守られるため、すべての参加者が安心して自らの考えを示すことができます。

参加者に馴染みがある

私たちはこれまでの生活の中で、数多くの投票を行ってきましたが、その多くはブラインド投票です。つまり、参加者にとって一番馴染みがある方法になります。ワークショップは参加者にとって、積極的な関与を求めるため常に緊張感があります。そんな中でブラインド投票は馴染みがあるため、参加者の安心感につながります。

投票で注意すべきこと

投票をすると、アイデアの決定を「多数決」で行うことがあります。しかし、安易に多数決でアイデアやテーマを決めることはおすすめできません。なぜかというと、人はわかりやすいアイデアに票が集まりやすいためです。イノベーションを引き起こすような優れたアイデアは必ずしもわかりやすいものではなく、熟考しなければ理解できないものが多くあります。だからこそイノベーションは難しいのです。ワークショップにおいて多数決は納得解を得られるとは言い難く、参考程度にとどめて、なぜこのアイデアが人気なのか、なぜ1票集まったのかなど、対話のきっかけとして用いて、合意形成は必ず対話の上で成立させるように注意しましょう

終わりに

ワークショップで最も重要で難しい合意形成における3つの方法について紹介しました。収束を目的としたワークショップを行う際はぜひ活用してみてください。Creativeog[クリオグ]では、ワークショップに関する記事を多数執筆していますので、ぜひ他の記事もご覧ください。

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