社内コミュニケーションで社内SNSを活用するには

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多くの企業は優秀な人材の獲得と従業員エンゲージメント向上のため、社内コミュニケーションに注力しています。そして新たに双方向型コミュニケーションとして社内SNSを導入するケースが増えています。本記事では企業で社内SNSを導入する際に、気を付けるべきことを解説します。

コミュニケーション概念図

社内SNSとは?

まず社内SNSについて説明します。社内SNSとはSNSを社内で構築し、従業員間のコミュニケーションを促すことで、従業員エンゲージメントの向上や会社情報の伝達を支援するサービスです。一般的なSNSと違う点は、社内SNSは社外からアクセスできないため、従業員の心理的安全性を確保し、安心して利用できる点です。また、会社情報の漏洩リスクが低い点が挙げられます。社内SNSの特長として、ネットワーク型コミュニケーションに属しており、情報伝達が瞬時に全社へ拡散することができます。社内SNSはさまざまなサービスが提供されていますが、Workplace from Meta、LINE WORKS、Slack、
Microsoft Yammer / Teamsなどが一般的に利用されています。

ネットワーク型コミュニケーション

ネットワーク型コミュニケーションでは、情報は瞬時に従業員全体に広まり、情報格差がありません。また、意思決定が透明化されるため、従業員の共感を得られやすい特長があります。

ワークショップの模式図

一方で情報を能動的に取得しなければならず、さまざまな裁量が従業員に帰属するため、責任も従業員が負う自己責任の風潮が強くなります。GAFAをはじめとするテック企業はこの双方向型コミュニケーションに舵を切っています。

そのため従業員の情報格差の是正につながり、企業内で技術や知見が蓄積しやすい利点があります。また社内SNSの中には、To DOリストを一括で管理し、業務における各従業員の進捗把握ができるSNSもあります。

社内SNSを活用できていない企業に共通する課題

企業が社内SNSを導入することは、社内コミュニケーションを活性化させるための手段です。しかし、社内SNSを導入してもうまく活用されない企業も多く見受けられます。ここでは、なぜ社内SNSを導入した企業で、社内コミュニケーションが活性化できていない企業に共通する課題について、6つに分類しました。

業界

企業と言っても、業界はさまざまです。IT企業に勤める従業員とメーカーに勤める従業員では、コミュニケーションのやり方が異なります。例えばメーカーは現場作業員が多く、オフィスで勤務する従業員は少ないです。現場従業員は休憩時間が決められており、その時間でSNSを見ることになるため、SNSの特長である即時性が生かせず、コメントが集まらないため盛り上がりにくいという課題があります。また、従業員のなかでSNSにアクセスするための電子デバイス(パソコンやタブレット、スマートフォンなど)を所持しない人も多く、利用人口が増えないことも失敗の一員です。

企業風土

社内コミュニケーションにおいて、情報の透明性・平等性を重視する企業と企業統治を重視する企業で二分されます。情報の透明性を重視する企業は、経営者自らが積極的にSNSに投稿する傾向が見られます。それは経営者の思いや考えを従業員に一斉に伝えることができるためです。一方で情報を等しく拡散することで、情報漏洩のリスクは高まります。企業統治を重視する企業はこの情報漏洩を嫌うため、SNSの導入には消極的です。また、従業員の一部がSNSに没頭し、実業務に悪影響を及ぼさないかを不安視していることにも着目しましょう。そして、役職者が消極的だった場合、指揮命令下にいる部下はみんなSNSへの参加がしづらくなります。このように縦割り構造の組織において、上位階層の従業員がSNS利用を抑制するとその先の下層まで浸透しないという難しさがあります。

ITリテラシー

企業に勤める従業員の多くは、18歳から65歳の間に属しており、その差は最大47年あります。社内SNSを普及させるにあたり、この年齢差は大きな問題です。それは年齢層が高くなるにつれITリテラシーが下がり、SNSを理解できずに利用しない比率が上がるからです。実名で投稿することがメリットではなくリスクになってしまう従業員もいます。なぜならばSNSに参加することで社内で「暇な人」と認識されることを恐れるためです。

ガバナンス

SNSでは従業員がコミュニケーションする場で情報交換することもあります。投稿する情報は瞬時に従業員が見える状態になるため、万が一従業員が機密情報を公開するリスクを恐れてしまいます。

時間

社内SNSでやりとりする内容は必ずしも業務と関連しません。この業務関連性が厄介な問題です。勤務時間中に業務関連性が認められない内容を見たり、投稿することは業務ではなく、休憩に当たると指摘される場合があります。もしその課題を解決しようとすると、従業員の多くは休憩時間のみSNSの閲覧が認められることになります。このような時間の制約はSNSの利用体験が下がり、利用を控えるようになります。

個人の関心

そもそも従業員の中で、会社の人とデジタルでつながりたい人がどれだけいるのでしょうか?この分析を見誤ってはいけません。職場で毎日顔を合わせる人とだけ仲良くして満足している従業員も多いと思います。彼らからするとSNSで直接関わりのない社内の人と交流するメリットが実はないのです。大人は子供と違い、友達の輪を広げようとしません。この心理的バイアスがSNSの普及を阻止してしまいます。

社内SNSを活性化させるためには

まずは6つの分類の中で、いくつ皆さんの勤める企業に当てはまるか、あるいは導入したときに当てはまりそうか、チェックしてください。すべての課題を無くすだけでも、社内SNSの活性化を加速させることができます。そして課題解決をしていく中で、目指すべきは企業風土(カルチャー)を変えていき、CCO(Chief Communication Officer : 最高コミュニケーション責任者)に選任されることです。企業風土をボトムアップで変えるのは簡単ではありません。そのため、社内SNSの活性化を起点に、経営陣の意識を変え、トップダウンで課題を迅速に解決することが、最も近道かつ従業員エンゲージメントが高くなります。

終わりに

社内SNSは従業員エンゲージメント向上のための有力なツールですが、活用に至るまでには多くの課題を乗り越えなければいけません。この課題は企業風土の改革に近接しているため、ボトムアップの取り組みだけでなく、トップダウンで課題解決に努めましょう。

Creativeog[クリオグ]では社内コミュニケーションについて記事を執筆していますので、他の記事もご覧ください。

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