ビジネスデザインはわかりにくいが役に立つ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ビジネスデザイン」あるいは「ビジネスデザイナー」という言葉が企業で認知されつつあります。本記事では、ビジネスデザインとは何かを解説したいと思います。

デザイン領域

デザインには幅広いジャンルがありますが、工業製品やデジタル領域におけるデザインはこのような分類ができます。

この図を見ていただくとわかるとおり、ビジネスデザインがカバーする領域は非常に広く、多様な専門性を持つ人がビジネスデザインに関係すると言えます。

デザインの定義についてはこちらの記事をご覧ください。

ビジネスデザインとは

ビジネスデザインは「事業の立ち上げから、事業の拡大、事業の変革など、事業を築き上げる」という意味を持っています。ビジネスデザインといっても、事業の立ち上げ(新規事業)と事業の拡大では、やるべきことは異なりますので、ビジネスデザインが網羅する範囲は非常に広いです。また、ビジネスデザインには業種(金融、医療、官公庁など)は問わないので、この言葉を使用する場合は「XX(業種)のビジネスデザインを担当しています。」と表現すると、聞き手に理解してもらいやすいと思います。

ビジネスデザイナーとは

ビジネスデザインを実践する人がビジネスデザイナーです。ほぼすべての企業が事業を立ち上げ、運営し、収益を上げるわけですから、ビジネスデザインと名乗る方は多いと思われます。そのため、ビジネスデザイナーの多くはそれぞれ専門領域や得意領域を持っていることが多いです。代表例は、マーケティング、開発、営業、UXデザイン、サービスデザイン、事業企画、カスタマーサービス、などがあげられます。

ビジネスデザイナーの特徴として「異なる専門性をもつ人々と協力して、事業を立ち上げられるコミュニケーション能力を有する」が挙げられます。ビジネスデザインでは事業を立ち上げ、運営し、収益を上げるため、さまざまな部門から人が集められ共通のゴールに向かい協働する必要があります。そのため、関係者をまとめあげ、彼らの声を集約し、アウトプットとしてまとめるコミュニケーション能力が必要になります。

なぜビジネスデザイナーが社会的に認知されてきたのか?

ビジネスデザイナーという言葉はここ数年で急速に認知されてきています。その理由を挙げてみます。

1.テクノロジー分野の技術革新の加速

テクノロジー分野の技術革新は想像を超えて加速しており、多くのビジネスは変革が求められる時代になっています。

2.問題解決からビジョン提案へのビジネスの変化

旧来は顕在されている課題を解決することで収益を得られるビジネスが多かったですが、これからの時代はあるべき姿を想像し、実現するためのビジネスを立ち上げる「ビジョン型ビジネス」、あるいは「バックキャスト型ビジネス」に変わっていきます。

3.世界全体の社会システム・経済システムの変化

SDGsやカーボンニュートラルなど、地球環境に対する問題意識は高まる一方で、単に自分たちの利益だけを追い求めた事業モデルは社会に認められなくなっています。日本国においても岸田政権は「成長と分配の新たな資本主義」を掲げていますが、これは旧来の資本主義経済の考え方が通用せず、経済システムの転換が迫られていることを意味しています。事業で収益を挙げつつ、世界の持続的な発展に寄与するために、どうすべきか、かんがえないといけない時代に私たちは生きています。

ビジネスデザイナーの専門性や教養について

ビジネスデザイナーの専門性としてよく挙げられるのが以下の領域です。

  • 事業企画、経営企画
  • マーケティング、デジタルマーケティング
  • UX/UIデザイン、サービスデザイン
  • カスタマーサクセス
  • 営業
  • 研究開発
  • 設計
  • 生産・製造

上記について学んだり、活躍したうえで、ビジネスデザイナーとして活躍することが多いようです。また、多様な価値観を持つ異なる専門家と対話を通じて、共創活動を支援することができる、協調性や、ワークショップなどの対話の場の設計やファシリテーション(司会進行)等、人を巻き込む能力も専門性として認められ、ビジネスデザイン領域で活躍する方も多くいます。

ビジネスデザイナーと名乗るには

ビジネスデザイナーと肩書を名乗ることは簡単ですが、専門性を示すことが難しい職種だといえます。また、ビジネスデザイナーは一人では成立しない職業です。そのため、事業の立ち上げの実績のほか、ワークショップなどの活動実績を示すポートフォリオを準備しておくことで、活躍できる場が増えていくと考えられます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもお読みいただけます