MaaS先進都市ヘルシンキの公共交通とMaaSアプリWhimのUIUX【Whimの使い方】

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フィンランドといえば、皆さんは「ムーミン」「マリメッコ」「サンタクロース」「オーロラ」などを想像すると思いますが、フィンランドの首都、ヘルシンキはMaaSを世界で初めて都市交通において実現した都市として世界的に有名です。本記事はヘルシンキの公共交通サービスとMaaSアプリWhimについて解説します。

ヘルシンキの公共交通サービスとMaaS

ヘルシンキには鉄道、地下鉄、バス、トラム、タクシー、客船フェリーといった乗り物が運行しているほか、シェアサイクル、シェアバイク、Uberのようなライドシェアなどシェアリングエコノミーが発展しています。最近ではスマートフォンアプリと連携することでMaaS/Mobility as a Serviceの先進国として世界中から注目されています。私たちが面倒だと感じる、移動の経路検索、予約、乗車、決済、がひとつのサービスで完結し、快適な移動ができることがMaaSの強みです。

MaaSとは

MaaSについて、総務省は以下の通り説明しています。

電車やバス、飛行機など複数の交通手段を乗り継いで移動する際、それらを跨いだ移動ルートは検索可能となりましたが、予約や運賃の支払いは、各事業者に対して個別に行う必要があります。

 このような仕組みを、手元のスマートフォン等から検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、また移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立っているサービスがMaaSです。

 MaaSの実現及び提供には、スマートフォンやデジタルインフラの整備・普及のほか、鉄道やバスの運行情報、タクシーの位置情報、道路の交通情報などの移動・交通に関する大規模なデータをオープン化し、整備・連携することが必要となります。ユーザーの経路検索・改札通過等の移動履歴や支払い情報などのパーソナルデータの活用、ドライバー不足を補うための自動運転やコンパクト・モビリティ1、電気自動車(EV)などのクルマのイノベーション、効率的な移動手段を分析、提案、改善するためのAIの活用など、いま急激に発展しつつある各種の技術が交差するサービスといえます。

総務省

まとめると、MaaSとは公共交通サービスを人工知能やアルゴリズム、自動運転といったテクノロジーを組み合わせ、スマートフォンなどのデバイスを使ってすべての人の移動を快適にさせ、移動に関する課題を解決する考え方です。

ヘルシンキ交通局(HSL)とMaaSアプリWhim

ヘルシンキ交通局(HSL)はタクシーやシェアサービスを除く公共交通サービスを運営している組織で、私たちが観光やビジネスでヘルシンキに訪れた際には、必ず一度は利用します。料金はシンプルで、どの交通手段に乗っても料金は一律で、移動エリアと時間で価格が決まります。日本のような距離に応じた料金体系やJRと私鉄といった区分がないため、わかりやすいです。これまでは券売機や運転手からチケットを購入したり、ICカードであらかじめお金をチャージして使用していたが、Whimの登場によって利便性が各段に向上しました。

MaaSアプリのWhimとは

WhimはMaaS Global社が提供するサービスで、「freedom of mobility/自分らしくスマートな移動」をコンセプトに掲げて、フィンランドをはじめ、日本にも進出しています。

国際的に認められたフィンランドのモビリティアプリケーション「Whim」は、1つのアプリでさまざまな移動モードに対応し、検索から予約、利用、支払いと包括的な機能を提供します。Whimは世界ですでに1,800万件以上の移動に使用され、人々の移動を自分らしくスマートなものにします。Whim は世界複数の都市で展開されている 本格的なMaaS アプリです。

(中略)

移動手段それぞれの支払い、交通渋滞による時間のロス、排気ガスによる地球温暖化などに悩まされることのない、もっと自由な移動。私たちは「自分らしく生きるための解決方法」としての移動を実現します。

Whimホームページ

Whim により、「経路検索→予約→乗車→決済」までがアプリ上で完結します。決済はキャッシュレスなので、旅行者にとって煩わしい両替えや現金による支払いに戸惑うこともありません。定額制なので、プランに応じて決められた範囲であれば乗り放題というのも利用者が増える要因なのかもしれません。

WhimがMaaSとして成功している理由

Whimは総務省が「次世代交通のMaaS」と題した記事で、WhimがMaaSとして成功している理由を考察しています。

このようなフィンランドの取組みを支援しているのは、産官学コンソーシアムであるITSフィンランドと、フィンランド運輸通信省です。ITSフィンランドは主要大学、タクシー協会、民間企業など100以上の団体・組織が参画し、MaaSに不可欠なオープンデータとオープンAPIのプラットフォーム開発・整備を担っており、それまで個別に点在していた移動に関する情報検索、決済等のサービスの統合を進めています。

総務省

つまり、WhimはAPIのプラットフォーム開発や整備を行うITSフィンランドや、MaaS関連法案の整備を行うフィンランド運輸通信省と産官学コンソーシアムを組むことで、支援を受けることで成功を収めました。日本でもオープンデータやオープンAPIの開発は始まっており、今後日本でもMaaSの具体事例が見られると思います。

WhimのUIUXと使い方

Whimのアプリは日本語にも対応しています。ユーザインタフェース(UI)もわかりやすく、操作も簡単です。ボタンもメインは色塗りに白抜きの文字とし、付帯情報はすべて色枠に色文字で書かれていることから、どこを触ればいいのか直感的に認識できるます。この章では具体的にチケットを購入するまでの流れを解説します。

手順① アプリを起動する

まずはWhimアプリを起動します。

手順② 目的地を入力する

アプリが起動すると、現在地と周辺の公共交通機関の情報がマップ上に表示されます。図では自分の周囲に鉄道駅とバス停留所があることが見ることができます。またここで移動手段を絞りこむことが可能です。この画面から「目的地を入力」をタップします

「目的地の入力」をタップすると、検索窓が出てくるので、行きたい場所を入力してください。また地図上で洗濯することも可能です。

手順③ 経路を選択する

場所を入力して検索すると、「旅の計画 Journey Plan」が出てきます。今回は鉄道のPトレインまたはKトレインが候補として出てきます。自分に合った「旅の計画」を選び、該当エリアをタップします。

「旅の計画」を選択すると、具体的な旅程が表示されます。総所要時間だけでなく、各交通機関の乗車時間など細かく表示されます。問題が無ければ、「旅を予約する」をタップします。

手順④ 決済情報を入力する

最後に、支払いのための決済情報を入力します。各種クレジットカード、デビットカード、クレジットカード一体型デビットカード、Apple Payが利用できます。JCBクレジットカードは利用できませんのでご注意ください。必要な情報を入力して、「注文」をタップすれば完了です。

最後に

Whimによりヘルシンキだけでなく、タンペレなど、フィンランドの公共交通サービスはMaaSとして進化しています。このほかにも、無印良品がフィンランド企業と開発した世界初の自動運転シャトルバス「GACHA」など、さまざまなMaaSが始まっています。フィンランドがMaaS先進国として世界中から注目されています。旅行やビジネスでフィンランドを訪れた際はぜひMaaSを体験してみてください。

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